助教の野々山君が筆頭著者の総説がNitric Oxide誌から発表されました。おめでとう!
本総説では、硫化水素(H2S)および活性硫黄分子種(Reactive sulfur species: RSS)が、細菌のヒト体内における生存戦略や定着機構において果たす役割について、現在までの知見をまとめました。ヒト体内に生息する細菌の中には、宿主環境由来のH2Sを電子供与体あるいはシグナル分子として利用するものが存在する一方で、含硫有機化合物や無機化合物の代謝を通じてH2Sを自ら産生し、直接利用する細菌も存在します。細菌内のH2SおよびRSSの濃度は、さまざまな機構によって厳密に制御されており、その結果として、細菌は抗生物質耐性を獲得したり、宿主から鉄を獲得したりすることが可能になります。これらの過程は、RSSを特異的に感知する転写因子群によって制御されており、その一部はH2S由来のRSSを認識します。これらの転写因子に存在する特定のシステイン残基のポリスルフィド化は、関連遺伝子群の発現制御に重要な役割を果たしており、細菌と宿主との相互作用を制御しています。さらに、細菌によるH2SおよびRSSの産生は、その病原性に影響を及ぼすだけでなく、ヒト宿主全体の健康状態にも影響を与える可能性があります。