この春に博士課程を修了したElhamさんの論文がPhysiologia Plantarum誌から発表されました
Ycf10とDLDG1は、葉緑体包膜に局在する相同タンパク質で、それぞれ葉緑体ゲノムと核ゲノムにコードされています。その2つの相同タンパク質は酸素発生型の光合成を行う生物のみに特異的に保存されていることから、光合成の調節、特に葉緑体とサイトゾル間のプロトン輸送を介してATP合成や熱放散(クロロフィルが吸収した過剰な光エネルギーを熱として放散する仕組み)に関与することがこれまでの研究で示唆されています。本研究では、近年開発された葉緑体ゲノム編集の技術を駆使し、シロイヌナズナのycf10変異体とycf10-dldg1二重変異体を単離し、その解析を行うことで、これらのタンパク質の機能とその冗長性について調べました。
これらの変異体は連続光下で育てると葉の緑色が薄くなる表現型を示しましたが、面白いことに培地にNaClを添加すると回復しました。また、単独変異体と二重変異体はいずれも野生型より強い熱放散が過剰な誘導を示し、特に二重変異体ではその影響が顕著でした。さらに、変異体では気孔の開口と糖蓄積量が低下しました。
以上から、Ycf10とDLDG1は協調して葉緑体のプロトン/イオンおよびpHの恒常性を維持し、効率的な光合成と植物の成長を支えていることが示されました。
この研究はコペンハーゲン大学などとの共同研究として行われました。
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